二日遅れのホワイト・デイ

ちょっと調べてみると、2月14日のバレンタイン・デイについては、それなりにウンチクがあって意味を為すようだが、この一ヶ月後のホワイト・デイってのは、極東の島国だけの慣習だとずっと聞かされてきたし、実際そうなのだから、本音を云えば無視してやり過ごしたいところだが、実際そうもいかないのがなんとも悲しいところ。
しかもこのところ、なんだかんだと退勤が遅くなりがちで、帰りにどっかのデパートの特設コーナに立ち寄るという感じでもなく、かといってなにもせずに済ますというのも、いささかオトナ気ない気もする。


そんなことで、私が唯一こだわって手がける(作れる)菓子:カスタード・プリンを焼くことで、このしょうもない慣習にどうにか納まりをつけた、二日遅れのこの日。
料理や菓子作りの常である「作るのに数時間、喰うのは数分」という定石は、このメニューでも例外ではないが、殊にプリンの場合、途中で味見ができないし、キレイに仕上がるかどうかも喰う瞬間までわからないというあたり、ある意味かなりギャンブル性が高いと云えよう。
特に今回は、実にひさびさに作ったということもあり、一時期けっこうな頻度で作っていたころに比べると、サジ加減も鈍っているような気がしながらの製作だったが、こうして喰う前に型から出してみると、ま、なんとか体裁は保っているだろう。

喰ってみたところ、手前ミソであることを覚悟で述べれば、本体の味のほうは申しぶんなかったし、黒いカラメル部分についても、焦がし砂糖がほろ苦くできており、全体の味のバランスを整えるのに一役買っているということで、自己評価で80点くらいはつけてもよかろう。
いささか惜しまれるのは、表面にある少々のキズ部分。
これはプリン型に材料を流し込む前に、型の内側に薄くバターを塗っておくことでキレイに型からはずれるようになるのだが、これを忘れていることに焼き始めてから気づいたため、ときすでに遅し。
また、カラメルの量がいささか多すぎて、プリン本体が浸ってしまっているので、焦がし砂糖はもっと堅く作り、入れる量ももっと少な目にすべきだった点も減点対象だろう。