いまだに天動説を信じている子供がいる...というニュース

この由々しき事態を、一方的に学校教育のせいにするというのも、どうも考えもののような気がする。
私自身、地動説を学校で習ったという記憶がない。
もしかすると習っているのかもしれないが、しかし最初にこれを私に話したのは父だったと思う。
あとはいろいろと自分で読んだり聞いたりして、なんとなく地動説を本当のこととして理解しているのが現状である。

実は大学時代、私はこの歴史を少し突っ込んで調べたことがあり、今回のニュースがいささか頭の片隅に引っかかっている。
空を見上げれば昼間は太陽が、夜になると月や星が空に見え、太陽や月は時間の経過と共に東から西へ、星は北極星を中心にまわっている。
地動説の知識がなければ、動いているのは空のほうで、自分たちの立つ地面のほうが動いているとは考えもしないことだろう。
だから、いまの子供が天動説を信じて疑わないのも、そう嘆くことではないのかもしれないという見方もありかと思う。

昔の学者は、空に見える天体がすべて、地面を半球状に覆う天井に貼り付いていると考えていたらしい。
とりあえずこの天井を少しずつ動かせば、それに貼り付いている天体も同時に動くので、日の出や日没を実現することができる。

しかしどの時代にも難クセをつけたがるヤツはいたようで「よく見ていると、いろいろな星はそれぞれ違った動きをしているようだが、それはどういう仕組みによるものか」と云い出すようになった。

学者もさるもので「たくさんの星は何重にも重なったそれぞれの透明の天井に貼り付いていて、それらに別々の動きをさせることで、様々な動きをしている」と説明した。
はたまたそれに対し「いったいだれがそんな面倒なことをしているのか?」と訊くヤツが出てくる。
当時の最後の決めゼリフ「決まってる、それは神だ」
これでみんな黙ったというから、まあ平和といえば平和な時代だ。
一方で、それに異を唱えた学者や僧には国による処罰があったというから、これはこれでそら恐ろしいハナシである。

天動説と地動説のことを、私にこれほど興味を持たせた「天動説の絵本」という一冊。
記述はもちろん子供向けだが、長じた者が読んでも深いテーマを感じられると思うのでオススメ。