眠らない街・トーキョー


新宿で呑んできた。
この時期だけに、いつもに増してヒトの出が多い。
日中には皆それぞれ憂いや怒りを抱えて過ごしているだろうに、酔ってフラつく連中のサマを見ていると、そんなことなど忘れてしまっているのか、まったく別の人間かのように目に映る。
もしかすると人間というものは、自分でも意識しないうちにもう一人の自分を演出し、夜の街を徘徊しているのはその役者なのではないか、などととめどないことを考えたりしながら帰宅の途に就く。

かくいう私も、帰宅すればヤサでの顔を持っているつもり。
ほろ酔いで帰った私を、そのまま横になってしまう前に風呂に入れと妻が云う。